「中学校に入ってから、子どもの英語の成績が急に下がってしまった…」
「小学校の頃はあんなに楽しそうだったのに、今では英語と聞くだけで嫌な顔をする」
もし、あなたがお子さんの英語学習についてこんな悩みを抱えているなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。
この記事を読めば、多くの中学生がなぜ英語につまずいてしまうのか、その根本的な原因が明確にわかります。
そして、その悩みを解決し、お子さんが再び英語を得意科目にするための具体的な方法まで手に入れることができます。
こんにちは。
私は元公立中学校の英語教師として15年間、500人以上の生徒たちと向き合ってきた田中健一と申します。
教員時代、英語につまずき、自信をなくしてしまう生徒を本当にたくさん見てきました。
しかし、ご安心ください。
つまずくのには必ず理由があり、その理由さえ分かれば、解決策は必ず見つかります。
この記事では、私が15年間の教員経験で見てきた、多くの中学生が陥る「3つの落とし穴」を徹底的に解説します。
そして、今すぐに家庭で実践できる「3つの処方箋」を具体的にお伝えします。
もう遠回りはさせません。
さあ、お子さんと一緒に、英語のつまずきを乗り越えましょう。
Contents
【落とし穴1】小学校英語とのギャップ!「楽しむ」から「学ぶ」への急な変化についていけない
多くのお子さんが最初にぶつかる壁が、実はこれです。
小学校の「外国語活動」と、中学校の「英語」は、名前は似ていますが、中身は全くの別物だということをご存じでしょうか。
このギャップこそが、つまずきの最初の、そして最大の原因なのです。
突然始まる「文法」の壁
小学校での英語は、歌やゲーム、ALTの先生との会話を通して「英語に親しむ」ことが大きな目的でした。
音声を中心に、英語って楽しいな、と感じてもらうための時間です。
そこでは、細かい文法のルールはほとんど問われませんでした。
ところが、中学校に入った途端、状況は一変します。
「これはbe動詞」「これは一般動詞」「主語が三人称単数だから、動詞にsをつける」…
突然、今まで意識してこなかった「ルール」の学習が始まるのです。
感覚的に楽しんでいた英語が、急に理屈で考える「お勉強」になる。
この変化に多くの子どもたちが戸惑い、「英語って、なんだか難しくてつまらない…」と感じ始めてしまうのです。
暗記量の急増と「書く」ことへの抵抗感
中学校の英語では、覚えなければならない英単語の数が小学校とは比較になりません。
小学校で親しんだ600〜700語程度に加え、中学校の3年間で新たに1,600〜1,800語もの単語を覚える必要があります。
毎週のように行われる単語テストに追われ、英語学習が「ひたすら暗記する作業」になってしまう子も少なくありません。
さらに、「聞く」「話す」が中心だった小学校英語に対し、中学校では「読む」「書く」の比重が一気に高まります。
特に、正しいスペルで単語を「書く」作業は、多くの子どもたちが苦手とするところです。
書けないから、テストで点が取れない。
点が取れないから、ますます英語が嫌いになる。
そんな負のサイクルに陥ってしまうのです。
「英語=勉強」になった瞬間に失われるモチベーション
小学校の頃は、英語の時間に「評価」されることはほとんどありませんでした。
しかし、中学校では定期テストがあり、成績がつきます。
点数という形で、はっきりと優劣が見えてしまうのです。
これにより、子どもたちの意識は「楽しむ英語」から「点数を取るための英語」へと変わっていきます。
「間違えたらどうしよう」
「良い点を取らないと」
そんなプレッシャーが、純粋に英語を楽しんでいた気持ちを奪い、モチベーションを低下させる大きな原因となってしまうのです。
私が教えていた生徒の中にも、このギャップが原因で英語嫌いになってしまった子がたくさんいました。
【落とし穴2】日本語と英語の根本的な違いを理解していない
中学英語でつまずく2つ目の大きな落とし穴は、日本語と英語の「構造的な違い」を理解しないまま学習を進めてしまうことです。
日本語の感覚のまま英語を捉えようとすると、必ず混乱が生じます。
この根本的な違いを理解することが、つまずきを乗り越える鍵となります。
「be動詞」と「一般動詞」の混同がすべての混乱の始まり
これは、中学英語最大のつまずきポイントと言っても過言ではありません。
I play soccer.(私はサッカーをします)
I am a student.(私は生徒です)
この2つの文を見て、違いが分かりますか?
1つ目の文の”play”は「(サッカーを)する」という具体的な動きを表す「一般動詞」です。
2つ目の文の”am”は、「私=生徒」という状態を表す「be動詞」です。
日本語には、このbe動詞に当たる言葉が存在しません。
そのため、多くの子どもたちが「I am play soccer.」のように、be動詞と一般動詞を一つの文で一緒に使ってしまうという間違いを犯します。
この最初のボタンを掛け違えてしまうと、その後の否定文や疑問文の作り方もすべて分からなくなり、完全に英語が迷子になってしまうのです。
主語によって形が変わる動詞(三人称単数・過去形など)
日本語では、「私は走る」「彼は走る」「私たちは走った」のように、誰がいつ行動しても「走る」という動詞の形は大きく変わりません。
しかし英語では、主語や時制によって動詞の形が変化します。
- He plays soccer. (主語がHeなので、動詞にsがつく)
- We played soccer yesterday. (昨日のできごとなので、動詞が過去形になる)
特に、主語が「私・あなた」以外の一人(三人称単数)の場合に動詞にsがつく「三単現のs」は、日本語の感覚には全くないルールのため、非常に忘れやすいポイントです。
「なぜsがつくの?」という理由が理解できないまま、「ルールだから覚えなさい」と言われても、なかなか定着しないのは当然のことなのです。
日本語にない「冠詞」や「複数形」の感覚
a dog / the dog
dog / dogs
これもまた、日本語を話す私たちを悩ませるポイントです。
名詞の前につく”a”や”the”といった「冠詞」や、名詞の最後につく複数形の”s”。
日本語では「犬」と言えば、それがどの犬か、一匹なのか複数なのかを厳密に区別しなくても会話が成り立ちます。
しかし、英語ではこれらをはっきりと区別しなければなりません。
この感覚的な違いを理解できないと、「冠詞をつけ忘れた」「複数形のsをつけ忘れた」というケアレスミスを延々と繰り返すことになります。
これらはテストでの減点に直結するため、英語への苦手意識をさらに強めてしまう原因となるのです。
【落とし穴3】非効率な学習法の繰り返しで抜け出せない負のスパイラル
つまずいてしまう生徒の多くに共通しているのが、頑張っているのになかなか成果が出ない「非効率な学習法」を続けてしまっていることです。
努力の方向性が間違っていると、どんなに時間をかけても成績は伸び悩み、やがて勉強そのものが嫌になってしまいます。
あなたのお子さんは、こんな学習法に陥っていませんか?
とにかく単語帳を丸暗記しようとする
単語を覚えることはもちろん大切です。
しかし、多くの生徒が、単語帳の赤シートを使って、英単語と日本語訳を1対1でひたすら暗記しようとします。
この方法では、その単語が実際の文の中でどのように使われるのかが分かりません。
そのため、テストで少し違った形で出てくると全く太刀打ちできなくなります。
また、苦労して覚えても、関連性のない知識はすぐに忘れてしまいます。
これでは、まるで穴の空いたバケツで水を運ぶようなものです。
問題集をただ解くだけで「なぜ間違えたか」を分析しない
「問題集を3回も繰り返したのに、成績が上がらないんです」
保護者の方からよくいただく相談の一つです。
詳しく話を聞いてみると、多くの場合、ただ問題を解いて丸付けをするだけで終わってしまっています。
学習において最も大切なのは、間違えた問題と向き合うことです。
- なぜ、この答えを選んだのか?
- どこで、勘違いをしたのか?
- 正解は、どうしてそうなるのか?
この「なぜ?」を突き詰めて考え、理解するプロセスを省略してしまうと、同じ間違いを何度も繰り返すだけになってしまいます。
解いた問題の量ではなく、一つの間違いからどれだけ深く学べるかが、成績を分けるのです。
音声学習の不足と「カタカナ英語」からの脱却の失敗
あなたは、お子さんが英語の教科書を声に出して読んでいる姿を見たことがありますか?
もし答えが「いいえ」なら、要注意です。
英語は「音」の言葉です。
目で文字を追うだけの学習では、リスニング力は一向に向上しませんし、正しい発音も身につきません。
単語を覚えるときも、意味だけでなく「音」と一緒にインプットすることで、記憶に定着しやすくなります。
音声学習を疎かにすると、いつまでも「カタカナ英語」から抜け出せず、聞き取れない、話せないという壁にぶつかってしまいます。
これが、英語学習全体のモチベーションを下げてしまう大きな要因になるのです。
今すぐできる!中学英語のつまずきを克服する3つの処方箋
ここまで、中学生が英語でつまずく「3つの落とし穴」について解説してきました。
では、これらの問題を解決し、英語を得意にするためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。
私が15年間、生徒たちを指導する中で効果を実感してきた「3つの処方箋」をお伝えします。
ご家庭ですぐに始められることばかりですので、ぜひ試してみてください。
処方箋1:「なぜ?」を大切にする根本理解型の学習へ
これまでの「丸暗記学習」から、「なぜ?」を考える「根本理解型の学習」へとシフトすることが、最も重要です。
例えば、三人称単数の”s”を学習するとき。
「He, She, itの後にはsがつく」とだけ覚えるのではなく、
「英語では、話し手(私)と聞き手(あなた)以外の第三者の『現在の習慣』について話すとき、動詞にsをつけて区別するんだ」という根本のイメージを掴むことが大切です。
分からない文法が出てきたら、すぐに答えを見るのではなく、「この文の主語はどれだろう?」「動詞はどれかな?」と、文の構造を一つひとつ分解して考える癖をつけましょう。
この「なぜ?」を考える時間が、応用力を育て、忘れにくい本物の知識を育むのです。
処方箋2:インプットとアウトプットの黄金比率
英語学習は、「インプット(知識を入れる)」と「アウトプット(知識を使う)」の両輪が揃って初めて前に進みます。
単語や文法を覚えるのがインプット。
そして、覚えた知識を使って音読したり、簡単な英文を作ったりするのがアウトプットです。
おすすめの黄金比率は「インプット3:アウトプット7」です。
つまり、勉強時間の大半を「知識を使う」練習に充てるのです。
具体的なアウトプット方法は、以下の通りです。
- 音読:教科書の本文を、CDの音声を聞きながら、真似して何度も読む。感情を込めて読むとさらに効果的です。
- 書き写し:教科書の本文を、一文一文、意味を考えながらノートに書き写す。
- 暗唱:基本例文を、何も見ずにスラスラ言えるまで繰り返し練習する。
- 一文英作文:今日習った単語や文法を使って、「私は昨日、公園に行きました」のような短い文を自分で作ってみる。
これらの活動は、脳に「この知識は重要だ!」と認識させ、記憶の定着を飛躍的に高めます。
処方箋3:親子で乗り越えるためのコミュニケーション術
中学生は多感な時期です。
頭ごなしに「勉強しなさい!」と言うのは逆効果。
お子さんのつまずきを乗り越えるためには、保護者の方のサポートが不可欠です。
大切なのは、以下の3つのポイントです。
- 結果ではなく過程を褒める:テストの点数だけでなく、「毎日10分、音読を頑張っているね」「単語テストに向けて努力していたね」など、日々の頑張りを具体的に認めてあげましょう。
- 一緒に楽しむ姿勢を見せる:洋画を字幕で一緒に見たり、好きな洋楽の歌詞の意味を調べてみたり。英語が「勉強」だけでなく「楽しいもの」でもあることを、親が身をもって示してあげることが大切です。
- 小さな成功体験を積ませる:「今日は単語が5個覚えられた!」「教科書が昨日よりスラスラ読めた!」など、どんなに小さなことでも良いので、「できた!」という感覚を日々味わわせてあげましょう。この小さな自信の積み重ねが、やがて大きな壁を乗り越える力になります。
まとめ:中学英語は「正しい努力」で必ず得意になる
今回は、多くの中学生が英語につまずいてしまう「3つの落とし穴」と、その具体的な克服法についてお話ししてきました。
最後に、この記事のポイントをもう一度確認しましょう。
- 落とし穴1:小学校英語とのギャップ:「楽しむ」から「学ぶ」への急な変化が、つまずきの最初の原因。
- 落とし穴2:日本語と英語の根本的な違い:「be動詞と一般動詞」など、日本語の感覚のままでは理解できないルールが混乱を招く。
- 落とし穴3:非効率な学習法:丸暗記や、解きっぱなしの学習では、努力が成果に結びつかない。
そして、これらの問題を解決するための処方箋は、
- 「なぜ?」を大切にする根本理解型の学習
- インプットとアウトプットの黄金比率(3:7)
- 親子で乗り越えるコミュニケーション
でしたね。
中学英語でつまずくことは、決して特別なことではありません。
多くの子が通る道です。
大切なのは、つまずきの原因を正しく理解し、一日でも早く「正しい努力」の軌道に戻してあげることです。
この記事が、あなたの、そしてあなたのお子さんの悩みを解決する一助となれたなら、元教師としてこれほど嬉しいことはありません。
英語は、世界を広げてくれる素晴らしいツールです。
お子さんが英語の楽しさを再発見し、自信を取り戻せるよう、心から応援しています。
最終更新日 2025年11月28日